1. ホーム
  2. CAPA
  3. 馬場信幸「THINK OUT」メーカーアンケート

最新号紹介

CAPACAPA 9月号
EOS 6D Mark IIライバル機対決も!今「ミドル・フルサイズ」が狙い目 ワイドレンズを使いこなす 月プラスαのアレンジ撮影 【付録】紅葉撮影ハンドブック詳細はこちら
デジキャパ!デジキャパ! 9月号
ミラーレス一眼の「現在地」 メシ&カシ写真の上達法 便利に使うレンズレンタルサービス EOS 6D Mark II ホントに使えるスマホ写真アプリ 詳細はこちら
最新カメラムックカメラムック - 別冊・書籍 -
学研のカメラ・写真・撮影テクニック本。オンライン販売もこちら!一覧を見る
  • Twitter
  • Google+
  • Facebook

楽しみながら写真が上手になるカメラ雑誌 月刊『CAPA』は、毎月20日発売です。

『CAPA』2014年2月号の「馬場信幸 THINK OUT」で、レンズの「ボケ描写」と「レンズの味」について、メーカー各社へのアンケートを実施しました。本誌には掲載しきれなかったアンケートの回答全文を紹介します。

「ボケ描写」「レンズの味」についての各社アンケートの回答

【質問内容】
 Q1「ボケ描写」に関して、貴社ではレンズ設計においてどのような配慮をしていますか?
 Q2「レンズの味」について、貴社ではどのように定義されていますか?

オリンパス
〈Q1〉
弊社では「ピント合焦付近のボケ」と、「大きくピントが外れた領域でのボケ」をそれぞれ計算機でのシミュレーションで確認しながら、レンズ設計を仕上げています。
●まず「合焦付近のボケ」について説明させていただきます。
 カタログ等に開示しているMTFチャートはレンズ性能を伝える大事な評価値の1つですが、ボケについてはMTFを計算する前段階の点像形状の方が、実写を推測するための多くの情報を与えてくれます。
 MTFは結像性能の総合点を現しており、その内訳の1つが点状形状ですので、同じMTFのレンズでも点像形状(すなわちボケ)は異なっています。弊社のZUIKOレンズは「開放から高解像」を設計指針としていますが、球面収差を極限まで抑えて高解像を狙った場合、僅かにピントがずれた領域で二線ボケが発生しがちです。二線ボケはシミュレーションの点像形状から発生を予測することが可能ですので、高いMTFを保ちながら点像形状を変えるバランス設計を行なっています。特にズームレンズはワイド~テレで球面収差が連続的に変動するため、点像形状のバランス取りの難易度は一気に高まります。しかし近年非球面レンズの生産技術が向上したため、非球面レンズにより収差発生を操って、点像形状すなわちボケも設計コントロールしやすくなりました。12~40ミリF2.8PROでは、ズームレンズではありながら、非球面レンズ形状を最適に設計することで、高いMTF特性とボケの自然さの両立を達成しています。
●次に「大きくピントが外れた領域でのボケ」について説明させていただきます。
 スマートフォンやコンパクトデジカメのユーザーが一眼カメラを買いたくなる理由の1つとして「背景が大きくボケて、被写体が浮き出る」効果が挙げられると考えています。
背景のピントをずらす(ぼかす)には望遠レンズを使ったり、メイン被写体に近づいて撮影すること大事ですが、ボケ像の形が悪いと逆に目障りな背景となってしまいます。まん丸のボケ像が理想ですが、画面周辺では「猫目」形状になってしまう場合があります。レンズの小型(小径)化を優先しすぎると、画面周辺で光線の一部を遮ってしまう口径食(ビネッティング)が大きくなり、それが原因で「猫目」となってしまいます。
 そのため弊社では周辺光量のためだけでなく、「大ボケ」の形状も注意をはらい口径食のバランスを取った設計をしています。
 スマートフォンやコンパクトデジカメのユーザーが期待する「良くボケるレンズ」として45ミリF1.8を提供しています。12~40ミリF2.8PROもFNOは2.8に留まりますが、最至近が20cmと短いため、背景ボケを作りやすい設計となっています。
〈Q2〉
●一般的にオールドレンズなどで残留収差があり、描写に特徴的な癖があるモノを「味」と表現することが多いと捉えています。「球面収差が大きいが、柔らかい描写」など写真表現手法につながる分かりやすい(大きな)「癖」については、弊社ボディ側の機能であるのアートフィルターによりある程度後付けができますので、レンズ自体の味は料理しやすい素材のように素直な特性が好ましいと考えています。「癖」は「高い描写性」と相反する性能状態と考えますので、現代の高性能化されたレンズでの「味」には違う定義が必要かと感じています。
●弊社内では「味」に明確な定義付けは行なってはいませんが、例えば、「ヌケの良さ」につながる高コントラスト、「切れ味」につながる高い解像力 などは空間周波数ごとのMTFとの関係があります。カタログ等で開示しているMTFチャートは画面位置とMTFの2次元チャートのみですが、設計段階では諸々の条件でのMTFチャートを駆使して、多次元的にMTFを確認しています。またQ1での回答と同様にMTF以外の点像分布も確認項目となります。
フレア・ゴーストについてもZEROコーティングなどの最新技術で発生を「0」に近付ける技術開発を進めています。
●また撮影行為の段階でも「味」を感じられると考えています。例えば「ピントが気持ちよくすっと合う」のためには、光学設計ではピントのズレ量とMTFの変化特性を評価し、電気制御設計ではフォーカスリングの回転角度とピント移動量のリニアリティに注意を払い、メカ設計ではフォーカスリングの回転フィーリングのチェーニングを行なっています。精密機器であるレンズを操作する喜びと言ったものも、ユーザーからの期待されている部分であると考えています。
75ミリF1.8は「ヌケ/切れ/すっと合うピント」を体感しやすいレンズだと思います。12~40ミリF2.8PROは描写性能では癖が少ない優等生で「味気ない」面があるかも知れませんが、金属性の操作リングの冷たい感触やMFクラッチ機能で瞬時にMFに切り替える楽しみが味わえます。
カメラは工業用測定機ではありませんので、完全無比な画像記録装置を目指すのではなく、記憶を記録して伝えるための「味付け」は永遠の課題だと考えています。
キヤノン
〈Q1〉
 銀塩時代からデジタル時代へ移行したことで拡大観賞が容易となり、市場では、よりシャープなレンズが好まれる傾向があります。このシャープさとはピントの合った被写体面上での描写を意味しておりますが、一方で、レンズの描写性能はシャープさだけでは表現し得ない様々な要素で決まるものです。レンズのボケ描写もその一つと言えます。
 同じ画角、同じFナンバーのレンズであれば、撮像素子が大きくなればなるほどボケ量が大きくなりますので、大型の撮像素子を搭載する一眼レフカメラではボケ描写の重要性は一層高くなっています。
 近年のシミュレーション技術では、ピントの合った被写体面はもちろんボケ像を含めたレンズの描写性能も机上で評価することができます。個々のレンズに最適なバランスを考え、シャープさを損なうことのない範囲で好ましいボケ描写となるよう設計しています。なお、ボケ描写の評価の際には作画効果として画面内の任意の位置に配置されることから、前ボケ、後ボケはどちらも重要と考えて評価しています。
 また、ボケ像の形状は絞りの開口形状に依存することから、円形絞りを採用することで好ましいボケ描写となるように配慮して設計しています。 弊社では、過去の豊富な交換レンズの設計ノウハウを活用し、また今後のデジタル写真に必要な視点も加味した上で、個々のレンズに相応しい描写性能を追求しています。
〈Q2〉
 「レンズの味」については曖昧な表現であるため、弊社では明確な定義はしておりません。お客様の中には、フレアー成分による描写の柔らかさといった言い方であったり、ボケ像の描写や歪曲収差、周辺光量の低下、カラーバランスの片寄りといった光学系の特徴であったり、あるいは残存するゴーストまでも含めて「レンズの味」と表現される方もいらっしゃいます。
 キヤノンではお客様が求める性能の中でもレンズの高画質化を最優先と考え、コントラスト、解像力がともに高くなるように設計をしております。上記のレンズの味に関わる項目の中でもボケ像の描写を好ましいものにするという配慮は、高画質化に影響を与えない範囲で行なっています。
シグマ
〈Q1〉
 大口径レンズ、大口径ズームレンズを中心に、ボケを考慮した設計を心掛けております。ボケの評価点については、ボケそのものの形状やピントが合ったところからアウトフォーカスしたところまでのなだらかな変化、立体感、色付き等様々あります。
また、ボケは主被写体距離、その主被写体に対する背景までの距離、また主被写体、背景が持つ周波数、コントラスト、色によって変化します。
 開発側にとって、それらの複数軸のパラメータの変化、評価点すべてに対し、最適な光学系にすることが究極的な目標ではありますが、現状では一部の条件にしか対応できれておりません。
 お客様がどのような被写体、シーンで撮影されるかを種々検討しながら、好ましいボケ(アウトフォーカス)描写を今後も研究しつつ、より良いレンズの開発を心掛けていきたいと考えております。
〈Q2〉
 「味」とは、そのレンズの個性であると考えております。
また、一般に収差(口径食等も含め)が残存している際に、「味」として評価されているようです。
 最近WEB上で話題になったペッツバールレンズは、ペッツバールタイプの欠点である周辺像の描写が、そのレンズの味として評価され、ペッツバールレンズ復活を実現させました。
 またソフトフォーカスレンズのように球面収差を大きく残存させ、主題の本質をより際立たせる等の描写も一種の「味」と考えています。
本来、「悪」とされる収差を、「味」として表現し直すことは、人間の想像性の豊かさにほかなりません。
 絵画に例えるなら、写実主義のみが「正」ではなく、抽象画、印象派等、ある評価軸に対し特化し主題の本質に迫ることで味わい深い作品となるように、写真レンズもまた、ある評価軸に対し尖がったレンズ(その他の評価軸に対しては低い)は味があると評価されてもよいのではないかと考えます。
 最近のレンズは、すべての評価軸に対し高得点を狙う製品が多く、個性的な味のあるレンズは少なくなっているようです。
 味のあるレンズの出現の可能性としては、未開拓な領域の仕様、限界仕様のレンズについて、性能面での検討が開発途上にある場合、味のあるレンズとして評価される可能性があります。
ソニー
〈Q1〉
 技術の進化や、観賞方法や最終アウトプットの進化・多様化により、高コントラスト/高解像を求められる傾向は続いています。
 背景ボケを良くすると、主被写体のコントラストも失われてしまうため、一般には両立が難しいと言われます。
 ソニーでは、全体トータルで見た時の高コントラスト/高解像とボケ描写のバランスを取ることを前提とした上で、無限遠から全身範囲が写る距離までは高コントラスト/高解像の意識を強めて設計しており、それより近い距離ではボケの描写に対する意識を強めて設計することを目指しています。
 また、特にポートレイトに適したスペックのレンズでは、背景ボケが良くなるように意識して設計しています。
〈Q2〉
 ピントの合った部分から完全にボケた像に至る間の、ややボケた範囲での像の崩れ方を「レンズの味」と考えています。具体的には、強い輪郭が出ない、柔らかい崩れ方から自然に大きくボケた像につながっていく、といような像となるように意識しています。味を感じていただける代表的な製品がプラナーT*85ミリF1.4ZAで、さらに大口径ながら安価な単焦点レンズにおいても味を楽しんでいただけるレンズを数多く製品化しております。
タムロン
〈Q1〉
 「味覚」には、「塩」「酸」「甘」「苦」「旨」の数値で測れる5つの要素があります。それらの要素が複雑に組み合わさった結果、「おいしい」「まずい」という主観による、「食べ物の味」という感覚的な評価になっています。
 「レンズの味」とは、レンズ性能や描写の主観評価の事で、物理的評価数の大小ではない、「おいしい」「まずい」のような概念と考えます。  つまり、「塩」「酸」「甘」「苦」「旨」にあたる、数値で評価できる要素としての、諸収差値(球面収差、コマ収差、像面湾曲、非点収差、色収差など)が有り、それらが複雑に組み合わさって「レンズの味」を構成し、レンズの個性になると考えられます。
 味の要素である諸収差のバランスを反映し、レンズの結像特性を客観的に「数値化」したものとして、MTF値があります。
 MTFは客観的な数値であり、それを読み解くことで主観評価である「レンズの味」の一部を知ることが出来ます。
 例えばホームページ等に掲出されているMTF特性のバランスを見ると、レンズの味の一つとしての、『軟調描写』『硬調描写』の傾向を下図のように知ることが出来ます。
低周波(10本/mm)MTF 高周波(30本/mm)MTF
軟調(諧調が豊か) 低い 高い
硬調(コントラストが強い) 高い 低い
高周波(30本/mm):MTFが高いレンズは軟調描写傾向(諧調が豊か)
低周波(10本/mm):MTFが高いレンズは硬調描写傾向(コントラストが強い)
とMTFのバランスを読むことで、「レンズの味」を予測することが出来ます。
 他にも、レンズの発色、周辺減光、歪曲、色にじみ、ゴーストフレア等、いろいろな要因が重なって「レンズの味」レンズの個性になります。
 それぞれの特性は数値化でき、多くの特性が組み合わさって、レンズの味(個性)になります数値で表せる性能がどの様な傾向であれば、多くの人に好まれ『美しい』と言われる描写になるかを地道に追って行くことが必須で、最終的な組み合わせが「味」として良い評価につながるよう、設計に反映したいと考えています。
〈Q2〉
 写真レンズは三次元物体を二次元に変換するので、ピント位置ではない部分の性能評価も重要で、評価の要点は以下に2点になります。 1つは「立体感の再現」、もう1つは「ボケ味」です。
「立体感の再現」
 レンズ描写に美しい立体感を持たせるには、ピント位置からボケへの滑らかな移行と、三次元物体上でのピントのしっかりしたピークが必要となります。
ピント移行が滑らかでなく急にボケるレンズは、3次元描写の悪い、『書き割り』のような写真になります。
「ボケ味」
 「レンズの味」と言われるものの中で一番目立つ現象です。
ボケは、大きくボケたときの「大ボケ像」と、ピントが少し外れたときの「小ボケ像」と、2つの観点から見る事ができます。
 「大ボケ像」に関しては円形に近い形状が理想とされるため、「口径蝕」をできるだけ小さくし、「円形絞り」を採用するなどして、まろやかなボケを実現しています。また、ボケの光量ムラによるボケ周辺のエッジが発生しないように、収差のクセを無くす設計を施しています。
 「小ボケ像」に関しては「非点収差」を少なくして、素直なボケを実現しています。非点収差が発生していると、放射方向と円周方向のボケが違うので円周状に流れて写ります。また、無理な収差補正で解像を上げると、光束にムラができて、二線ボケとなるため無理のない素直な収差補正を心がけています。
トキナー(ケンコー・トキナー)
〈Q1〉
 ボケが汚い。具体的には、二線ボケ、渦巻き状のボケ等が撮影者にとって有害と思っております。
 トキナーとしては、ボケ描写については、たとえ広角ズームであっても良好なボケ味をうたい文句にしています。
 例えば、大口径超広角ズームレンズにおいては、周辺部までのシャープさは命と言っても過言ではありません。まず各収差を徹底的に補正していきます。特にデジタル一眼レフ用交換レンズにおいては象面湾曲に気を使います。
 そうした設計をしっかりしていくと、結果的に綺麗なボケになりますね。汚いボケが発生する要因は、いたずらにコンパクトに仕上げるために高屈折ガラス等を多く使用して、無理にパワーを掛けたレンズに多いように見受けられます。現行のトキナー製品は、レンズ設計にサイズ的な無理をしていませんので、ボケは概ねきれいだと思います。
〈Q2〉
 トキナー製品全般に拘っていることは、カラーバランスです。CCI値を出来るだけ理想値に近づける努力をしています。
 デジタルだから、「色の処理は後加工でどうにでもなる」とおっしゃる方も見受けられますが、とんでもないと思います。あくまで癖の無いニュートラルの発色にしてこそ、後処理も可能になるのではないでしょうか。空の青がしっかり出る、木々の緑が自然な色で発色する等。
 トキナーとしては、スペックに出ない所にコストを掛けています。発色は最大のレンズの味と思っております。
 また、大口径ズームにおいては、絞り解放から絞り込むほど性能が上がっていくような感じで仕上げている事も、レンズの味かもしれません。
ニコン
〈Q1〉
 無限遠の被写体はほとんど平面、二次元と考えてよいのでMTFのデータで十分ですが、有限距離の被写体は異なり解像力やコントラストだけではなく、どうボケが変化するかまでデザインしなければいけません。ニコンではOPTIAによる三次元的な解析によってデフォーカス部分の描写特性をコントロールすることができます。ピント面から像がどう滲んで崩れていくかというデフォーカスの描写特性にこだわったレンズを開発していきます。
〈Q2〉
 レンズの味というと主観的なところもあり、例えば周辺光量がガクッと落ちることに味を感じる人もいるなどレンズの味を客観的に定義するのは難しい面があります。そこでニコンでは結像性能に関わる部分だけ、すなわちフォーカスの合ったところからボケ始めて大きくボケるところまでが心地よくボケていくところに味があると考えます。そのため周辺光量の不足や色調、製造誤差による像の滲みなどはレンズの味とは考えておりません。
パナソニック
〈Q1〉
 好ましいボケ表現のためには、ボケ像の「均一性」と、「形状」という2つのファクターを考慮することが重要です。
 ボケ像の均一性については、ボケに最も大きく影響を及ぼす収差である球面収差をややアンダー側に倒し、なおかつ変曲点を持たせないよう工夫することで、より綺麗な後ボケになる設計を行なっています。
 球面収差はその形状がオーバー側に倒れるとボケ像中心に輝点を持ってしまい、また変曲点を持つといわゆる二線ボケという現象が発生します。これらは、いずれもピントの合っていない部分がざらつき、ノイジーな背景描写になってしまいます。当社では設計からモノ作りまで一貫して球面収差をコントロールする思想での製品開発を行い、ボケ像の均一性を高いレベルで確保することを目指しています。
 次にボケ形状に関しては、ビグネッティングとコマフレアの低減を意識した設計を行うことが重要になります。
 ビグネッティングによるケラレが大きいと画面の端部でボケ形状が円では無く、円の一部が切れたボケが目立つようになります。また明るい標準系レンズの残存収差に起因するコマフレアがあると、放射線方向に広がる点光源ボケが発生してしまいます。これらは、いずれも背景描写の品位を著しく下げることになり、当社では厳しい設計基準の元ボケ形状にも拘った設計を行なっています。
 また、光学設計とは別にボケ形状は、絞りの形状にも影響を受けます。絞り羽根の枚数が少ないとボケ形状が円形から外れた多角形状となり、好ましい形にはなりません。ボケを拘るレンズについては絞り羽根枚数を増やし、円形に近いボケ形状を目指しています。
 このように当社では、ピントの合っている主要被写体の解像性能に加え、ボケ味に拘った設計開発を行うことで、奥行き方向の領域を含めた三次元的情報を良好に一次元に圧縮することで、主要被写体が美しく浮き上がる描写を実現を目指しています。
●LUMIX交換レンズの中でボケ描写に優れたレンズの種類名とボケの内容
1番お奨めは、45ミリF2.8マクロ。
ボケは収差的にも非常に綺麗で、形状もケラレが少なく、輪線も目立たず、優秀なボケ味を持っていると考えます。
〈Q2〉
 レンズの味というのは、感覚的、抽象的、直感的であり、また個々の鑑賞者の捕らえ方に依存する所が大きいため、一つの考え方で表現することの難しいテーマです。あえてレンズの味を語るとすれば、それはデジタルの画像補正が極力少ない状態でできあがった1枚の写真から、個々の鑑賞者が他のレンズとは異なる特徴的な描写を感じること、と言えます。要は他のレンズと大きく異なる特徴の描写を持てば持つほど(もちろん常識の許す範囲においてですが)、味のあるレンズと評価されることになります。レンズの性能は千差万別なので、言わば、全てのレンズは各々相応のレンズの味を持っているということになります。
 とは言え、あるレンズで撮られた写真を見たときに「このレンズは明らかに個性的で魅力的な描写だ」という写真を作り出せるレンズがあるのは事実で、そういうレンズが真の意味で味のあるレンズと言うことになります。
 弊社では、レンズの味を最初から意識して設計するわけではありません。ただ、「味」に繋がるであろうファクターである、MTF、ボケ味、ゴーストフレアなどの光学性能に関し、その到達点をどこに持っていくのかを各々のレンズの設計開発段階において徹底的に議論し、設計と修正のフローを回していきます。遠くの被写体をかっちり撮りたい望遠レンズは、できるだけ軸上付近の特に色収差を除去した設計を行う、ポートレート用の明るいレンズはピント面~ピント外れ域がスムーズにつながるような良質なボケ像を目指す、また太陽光など輝点の入りやすい超広角レンズではゴーストフレアのできるだけ少ないレンズ面配置にする、などです。
これらお客様の使い方を想定し、その使い方のときに最高のパフォーマンスを発揮する設計を心がけること、そして設計性能を再現するためのモノ作り技術を注入することで、結果的に撮られた写真に「味がある」という評価を受けるレンズになっていくということだと考えます。
 当社では、今後も顧客視点でレンズ開発を進めることで、他のレンズとは一味違う特徴ある描写力を持ったレンズを次々生み出していく所存です。
富士フイルム
〈Q1〉
 中距離以遠では、フォーカスを合わせた被写体の中の、フォーカス前後のボケのつながり(後ボケ-ジャストピント-前ボケ)を重要視し中判大判を少し絞った時のような連続性のあるボケを目指しています近距離では、被写体の後にある別の物体のボケ(後ボケ)を柔らかくするために、収差をわざと残すように設計しています。これらを最もうまく実現しているのが XF23ミリ と XF35ミリ で、XF23はフォーカス前後のボケのつながりを重視し、XF35は後ボケの柔らかさを重視しています。
 画質設計・評価の観点は下記です。レンズのもつ特性をスポイルしないことに注意をはらって設計しています。例えば、円形ボケ、木漏れ日のボケなどが硬く目立ちすぎないこと。ボケのグラデーションに急激な変化がつかないようにすること。具体的にはシャープでありながら繊細さを残すようにして、太いエッジが出ないような基本設計方針をとっています。
〈Q2〉
 一つの疑問として、「レンズの味」と言われてるが何故「ボディーの味」がないのか、ということがあります。おそらく、フィルム時代はボディーの違いで基本写真は変わらなかったからなのでしょう。しかし、デジタルカメラでは、レンズとボディーの両方が画質に関与してきます。
 Xでは、レンズとボディーを合わせて方向性を考えています。 ボディー側は、X-Trans CMOS とローパスレスで、高解像領域まで素直に延びる特性を持っています。 一方、レンズ側は開発初期からボディーの特性を活かすべくMTFにこだわらない素性の良さを目指して設計を行っています。その為、線が細く、大サイズまで引き延ばしても細かい画像が出てくるような特性を持ったシステムとなっています。
 これが「レンズの味」のみならぬ、Xにとっての「画質の味」となっていると思います。
 単焦点レンズの開放絞り(あるいは開放付近)の描写は、中心部においては、規定レベルのシャープさを保っていることを判断基準としていますが、周辺部については「流れ、回転状」のボケではなく柔らかなボケであれば「味」として肯定的に評価することがあります。(いわゆるチャートの周辺解像です)無論、これは絞ったときには全面がシャープであることを前提としていますが。
 また、大口径の部類に入るレンズでは撮影条件によって開放付近でフレア/ハレが出る場合がありますが、それが「柔らかさ・ソフト効果」と判断できるものであれば同様に「味」といえます。開放からF4の範囲でよい意味で描写が変化するのが、大口径としての「味が楽しめるよいレンズ」と考えています。
※XF23ミリ、35ミリは上記の部類に入るレンズです。特に35ミリは焦点距離が長い分、より「味」の楽しめるレンズと言えます。また、23ミリは準広角という守備範囲の広いレンズですが、ポートレートでも美しいボケ味を楽しむことができます、これも35ミリとは違う「味」のあるレンズといえます。
ペンタックス(リコーイメージング)
〈Q1〉
 レンズ設計においては、残存収差の量をコントロールし、そのバランスを整えることで、ボケの質感や形状を良くするように配慮しています。収差については、特にコマ収差(サジタル)と非点収差の補正に注意を払っています。
 球面収差は解像力との兼ね合いで形状や量をコントロールしており、シャープさを出す場合は極力抑え、ソフトな感じを残す場合は形状や量をコントロールして残存させています。自然で違和感のないボケを再現することにつとめています。
●DA★55mmF1.4 SDM
35ミリ判換算で84.5mm相当の画角となり、ポートレートの定番レンズ85mmF1.4相当となる。
大口径ならではの美しくやわらかいボケを再現
〈Q2〉
 主に球面収差、コマ収差、非点収差の量やバランスによって生み出されるレンズ描写の特性(個性)がレンズの味だと考えています。芯のあるやわらかな描写から解像感の増した描写まで、絞りを変えたときの描写の変化もそのひとつと考えています。
 近年、収差が少なく、シャープで解像度(解像感)を優先したレンズが好まれる傾向がありますが、それを味と言うには違和感があります。残存収差とシャープさのバランスが取れたものが好ましい味であり、ボケ同様に、残存収差が描写に与える影響が自然で違和感のないものが好ましいと考えています。
●FA77mmF1.8 Limited
レンズの味を重視、やわらかく美しい後ボケを再現。開放から絞ったときに、描写変化の幅が広い。
・HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
FA時代のLimitedにデジタル時代の解像感を加味。
●HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited
従来のマクロでは絶対的だった平面性の制約を緩め、立体描写を重視した設計。