評/吉野 信

よしの しん/日本写真家協会、日本旅行作家協会会員。世界中を飛び回り動物や自然を撮り続けている動物・自然写真家。自然保護にも力を入れる。NHK文化センター写真大賞、前田真三賞をはじめ、各種フォトコンテストの審査や講演を行っている。近著に『ピュアハート』(永岡書店)、『アフリカを行く』(中央公論新社)など。http://www.yoshinouniverse.com/index_j.htm

使用機材(1)カメラ(2)パソコン(3)ソフト(4)プリンター(5)その他


月例デジタルフォトコンテスト【9月号】

◆最優秀賞

「祭の男」勝山勝一さん(愛知県江南市)

評:赤い色の隈取り、ブルーの髪の毛、そしてグリーンに金糸の鉢巻き。視覚的にも超がつくぐらいの派手な色彩に彩られた祭り化粧の男性を、真正面からとらえた映像の力強さがあふれる作品です。コンパクト高性能ズームレンズによる映像も、かなりの大きさまで美しく拡大できるということをあわせて感じさせてくれます。映像を加工することなく、見たままの姿をクローズアップしたことが、これを見る人に新たなる魅力を感じさせるここと思います。デジタルはすなわち加工することという発想ではなく、ストレートな映像の魅力と迫力を伝えてくれています。
■@オリンパス キャメディアC-7070WideZoom Aソニー バイオ Bアドビ「フォトショップ5.0」Cキヤノン ピクサスiP8600

作者:「鳴子踊りの中で寸劇を演じる主役です。踊り手の中で特に目立つ男を発見し、思い切り寄って撮りました」


◆優秀賞

「休日」大竹 誠さん(埼玉県朝霞市)

■@オリンパス キャメディアC-4100Zoom ANEC ラヴィー Bアドビ「フォトショップエレメンツ」

作者:「ヤッター優秀賞! 大喜びです。少し時代遅れの“スマートメディア”。まだまだガンバッテもらう予定でいます!」

評:ブルーと黒を基調にしたこの映像は、ちょっと不思議な神秘的ともいえる世界をつくりだしています。子どもをともなった若夫婦らしい人物の後ろ姿、水の揺らぎと樹影が醸し出す沈み込んだような雰囲気は、その色彩とともに明るい明日を感じさせるものではありません。しかし、この作品は、冷たい色彩の世界をはねつけてしまう魅力があります。


「決まった!」古田浩之さん(兵庫県西宮市)

■@ニコン D70 Aヒューレットパッカード Compaq d330 BJasc「ペイントショッププロ9」Dケンコー デジタルテレプラスPro300

作者:「鳥が好きで、毎週のように鳥の写真を撮りに行っています。今回好きな鳥の写真で受賞できてうれしく思います」

評:アヒルの羽ばたきの一瞬をとらえた映像は、羽が水平の位置にあることと、背伸びして垂直姿勢のポーズであることが、ユーモラスな感じがします。まさに器械体操の選手が最後の演技でみごとに着地姿勢をとったような格好。そしてちょっとだけ頭をのぞかせたほかのアヒルの目線が、画面の中でそれなりの世界を作り上げた、瞬間の魅力があります。池の水の青さも明るさを輝かせています。


◆佳作

「Keiko」
神谷則明さん(愛知県岡崎市)

評:これがモデル撮影なのかどうかは判断しかねますが、ちょっとおどけたようなポーズの若い女性の明るさが輝いています。赤い水着と日傘とピンク色の花。色彩の統一感と明るい日の光などが一体となって、おしゃれなイメージを感じさせる、ある種の雰囲気を醸し出した作品といえます。

■ @キヤノン EOS-1D MarkU Aデル ディメンション4500 DEF16〜35ミリF2.8L

作者:「よく晴れた初夏、写真仲間との撮影会作品です。日傘を小道具に、おどけながら動いてもらい写しました」


「霧の夜」
佐々木 浩さん(北海道釧路市)

評:霧が演出した都会の夜の風景は、街灯やネオンの光を映し出した落ち着いた雰囲気を見せてくれます。この映像のおもしろさは画面中央を横に走る2本の白い光。コメントによるとバスのヘッドライトということですが、この光の筋がアクセントとして、非常に効果的な盛り上がりになりました。

■@ペンタックス *istDS ANEC バリュースターNX Bアドビ「フォトショップエレメンツ2.0」

作者:「霧の夜、橋の上から夜景を撮っていたら偶然バスが通り、その光線がおもしろい光景を作ってくれました」



「日本丸」
斉藤 一さん(神戸市中央区)

評:バックの空の色を青く加工したのかどうかはわかりませんが、鮮やかに浮かび上がった日本丸の輝きと、放射状に光を放つライトのきらめきが、SF映画の世界を再現させたような雰囲気で迫ってきます。もう理屈ではなく画像全体が醸し出す、夜の静かな美しさを感じさせる作品です。

■@キヤノン EOS 10D A自作機 Bアドビ「フォトショップCS」D三脚

作者:「日本丸がハーバーランドに来たときの写真です。また来てくれるといいのになと思っています」



「万歳」
柘植康成さん(愛知県瀬戸市)

評:モデルになった昆虫はツマグロハナカミキリだということです。草の茎から空中に飛び出した瞬間を、シャープな映像でみごとにとらえています。観察とねらいの確かさを証明している作品ですね。ユーモラスな顔つきとポーズが、このタイトルを連想させていることも十分に感じることができます。

■@キヤノン EOS 20D Aソーテック M370AV Bアドビ「フォトショップエレメンツ2.0」

作者:「飛び立つ瞬間を、ねらいどおりに撮れてうれしかったです。思わず被写体と同じで、万歳をしてしまいました」


「もうダメにゃ」
鍬釣 龍さん(千葉県市川市)

評:暑さでまいったのか、体を投げ出してダラッとしたポーズで横たわるネコを、地面すれすれのアングルで写していることが新鮮さを感じさせます。ネコ自身の身体的状態を推し量ることは映像だけでは難しいのですが、気持ちよさそうに寝ているようにも見えます。

■@リコー Caplio GX Aアップルコンピュータ パワーMacG5 Bアドビ「フォトショップCS」

作者:「3度目の掲載もネコ写真……これからもネコ撮り続けます。また高級ネコ缶持ってお礼に行きます」


「チェリーちゃんです!」
梶原龍尚さん(兵庫県明石市)

評:ボールを口にくわえて真正面に走ってくるワンちゃんを写したこの作品は、たとえ自分の愛犬だろうとピントが合ったシャープな映像にするのは、簡単なことではないのですが、じつに鮮やかに写しとめています。影を意識した作画構成がアクセントになって、朝の時間の臨場感を伝えてくれます。

■@キヤノン EOS 10D A自作機 Bアドビ「フォトショップ6.0」

作者:「家族のチェリーちゃんです。ボール投げが大好きです。かわいい愛犬が誌面で紹介されて家族みんなで大喜びです」


「ファイヤー!!」
今西春実さん(兵庫県姫路市)

評:手力雄神社の火祭りのワンシーンということですが、金色のシャチホコと舞い落ちる火花、そして吹き上がる火の粉、じつに勇壮にして豪快な感じの仕掛け花火神輿ですね。金色を基調にした画面の中で、手前のシルエットになった観客の姿がアクセントになって、画面の緊張感を高める効果を発揮しています。

■@シグマ SD10 Aデル ディメンション4600C Bシグマ「フォトプロ2.0」

作者:「この火祭りは近づいて撮影することができず、どうしても人影が入ってしまったのですが、それが功を奏したのはうれしい限りです」


「パープル」
栗林 誠さん(名古屋市西区)

評:一輪だけ咲いた花とつぼみの塊をクローズアップしただけの写真ながら、全体の色彩から来るイメージは、ちょっと不思議ともいえる雰囲気に満ちていて目が引きつけられます。作者は花をモデルにしながら、宇宙空間を見つめるような視点で作画したのではないだろうかとも思えます。

■ @ペンタックス *istDS Aデル ディメンション8300 Bアドビ「フォトショップCS」

作者:「公園の片隅の小さな花ですが、マクロで撮るとまるで別世界。美しい紫の世界に感激し、何枚も撮影しました」


「るんるん♪」
小竹光夫さん(兵庫県加東郡)

評:くちばしいっぱいに獲物(昆虫)をとらえて、これから巣にいる雛たちにエサを運ぼうとしているキセキレイを、美しい映像でとらえています。バックの緑色と野鳥自身の色彩の対比と光の鮮やかさが、春の季節の暖かさとやさしさをあわせて伝えてくれる作品へと昇華させています。

■ @ニコン D70 A日立 プリウス7700 Bユーリード「フォトインパクト8」


「大きいなあ…」
亀井正夫さん(和歌山県和歌山市)

評:赤い色の布張りの魚が主体となったお祭りの写真は、いろいろなコンテストで見ていますが、この作品はそんな華やかな場面ではなく休憩中の合間のスナップです。女の子が恐る恐る口の中に手を入れ込んでいるシーンをクローズアップしたもので、その色彩の対比とともに作者の視点に新鮮さを感じます。

■@ニコン D100 Aアップルコンピュータ パワーMacG4 Bアドビ「フォトショップ6.0」Cキヤノン ピクサス9900i

作者:「祭りの主役である作り物のタイの口に子どもが手を入れ、大きいな……と触っていた親子を撮りました」


「おばぁちゃんどこいくの」
早川惣之助さん(滋賀県大津市)

評:最初はこんなシーンはめずらしいと感じたのですが、コメントを読むと、ポスターと男の子は合成したのだと書かれていました。読んだあとにあらためて、作者のイメージの確かさと画面構成のすばらしさに感心しました。こんな映像づくりが可能なのも、デジタルならではと感心もしました。

■@ニコン D70 Aアップルコンピュータ eMac Bアドビ「フォトショップCS」Cエプソン PX-G900

作者:「かわいいおばあちゃんを撮らせてもらったのですが、画面構成が物足りなくて合成で補いました」


「萎ん花(しぼんばな)」
足立幸弘さん(鳥取県米子市)

評:咲き誇る花ではなく、縮んできた花をとらえた視点の新鮮さを感じさせる作品です。まわりを暗く金色に輝く縮み花を大きくとらえた全体の雰囲気は、何か異星の生物かとも想像させるイメージを語りかけてきます。色彩の対比が、なんとも不思議な世界を作り出していますね。

■@フジ ファインピックス4900Zoom Aマウスコンピュータ BE-C24XP Bアドビ「フォトショップエレメンツ2.0」Cキヤノン ピクサス850i

作者:「あらためて花の姿、形もおもしろいと思いました。これからも多様な視点で身近な物を見つめていきたいです」


◆特別賞

「給餌」三輪正二さん(神戸市垂水区)

評:高倍率ズームレンズが付いているとはいえ、コンパクトカメラでツバメが雛にエサをやる瞬間をみごとにとらえた作品は、モノクロの表現によって、何か懐かしさを感じさせる雰囲気を募らせます。この瞬間を何枚も写したということですが、シャッターのタイムラグを考えながら、空中でエサをわたそうとしている親ツバメを、ベストポジションでみごとに写しとめることに成功した努力に、拍手を送らせていただきます。

■@キヤノン パワーショットS1 IS Aソニー バイオ Bアドビ「フォトショップ5.0」Cエプソン PM-950C

作者:「巣立ち後の雛にエサを与えるところはめずらしく、その場に出会ったのが特別賞の栄を得ることになったと喜んでいます」


◆努力賞

「浮遊の夢」萩尾輝比己さん(福岡県筑後市)

評:まさにデジタルならではの作品ですが、作者の夢と思いで構成された映像は、独特の雰囲気を運んできます。雲を膨らませたような色とりどりのバルーンだけでなく、空中へと浮遊するイメージを感じさせるために、飛翔する2羽のハトを配した画面構成もじつに効果的だといえます。

■@フジ ファインピックスF601 ANEC バリュースター BJasc「ペイントショッププロ7J」Cキヤノン ピクサスS500

作者:「ぼんやりと空を眺めているといろいろな情景が目に浮かんでくる。五月晴れに浮かんだ白雲は、心を浮遊の世界に誘ってくれた」



「自然の怒り」岡部一美さん(福島県郡山市)

評:いなずまという自然界の電気放電現象は、いつどこに現れるかは予想つかないことが多いだけでなく、ときには危険をともなうこともあるので、写真を撮るのはなかなか難しいのですが、難しさを越した好奇心によって成功した作品といえるでしょう。タイトルもしゃれていますね。

■@キヤノン EOS 10D A富士通 FMV Bアドビ「フォトショップエレメンツ2.0」Cエプソン PX-G5000

作者:「雷の激しい夜に家のベランダから撮影しました。次回は背景に街の明かりを入れて撮影したいと思います」



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