評/吉野 信

よしの しん/日本写真家協会、日本旅行作家協会会員。世界中を飛び回り動物や自然を撮り続けている動物・自然写真家。自然保護にも力を入れる。NHK文化センター写真大賞、前田真三賞をはじめ、各種フォトコンテストの審査や講演を行っている。近著に『ピュアハート』(永岡書店)、『アフリカを行く』(中央公論新社)など。http://www.yoshinouniverse.com

使用機材(1)カメラ(2)パソコン(3)ソフト(4)プリンター(5)その他


月例デジタルフォトコンテスト【2月号】

◆最優秀賞

「ひとりぼっち」亀井正夫さん (和歌山県和歌山市)



評:お祭りの衣装をつけて化粧を施した子どもの写真は、よく見ることができますが、この作品はお祭りの舞台の隅の日向の片隅で、ちょっとしょんぼりとした感じでいる姿が、何となく哀愁を感じさせるようです。オレンジ色の衣装と青い色のかぶり物と顔にかかれた隈取りが、とても印象深く思えます。お祭りそのものではなく、中心から外れた部分に注目したことが、かえって選者の目に新鮮さを感じさせました。モデルになった少年だけでなく、落ち着きのある背景の舞台が相乗効果を強めたといえるでしょう。

■@ニコン D100Aアップル G4Bアドビ「フォトショップ7.0」Cキヤノン ピクサス9900i

作者:「主役となったために友達と遊ぶこともできず、一人出番を待つ。その孤独感を出せればと思い撮りました」


◆優秀賞

「お猿さん」大島雅文さん (岐阜県多治見市)

@コダック DC4800ANEC LavieB市川ソフトラボトリー「デイジーコラージュ4」

作者:「陶器祭の会場へ、とりあえずカメラを1台持って行ったところ、猿芸があったので陶器を見ずに猿芸ばかり見ていました」

評:サル回しの芸を見つめる人々の中央で、立ち上がったサルのポーズが可愛らしいですね。子どもと動物は天性の役者だといいますが、まさにそんな雰囲気いっぱいの感じがみなぎっています。中でも、脇のほうからサルではなくサル回しのお兄さんの表情を覗き込んでいる少年の存在が、この作品を引き立てる重要なポイントになっています。楽しさとユーモラスさが一体となった視点の勝利だといえます。


「噴水」斉藤一さん (兵庫県神戸市)

評:たぶん、この場所に出かけデジタルカメラで撮影するとこんな感じの写真になるのかもしれませんが、とにかく美しいだけでなく、色彩の対比と放物線を描いた噴水の流れと、外灯の光で、なんとなく神秘的な雰囲気が伝わります。人が画面に写っていないことが、その神秘性を増幅しているのでしょうが、そんな思いを伝えるような作品へと仕上げたのは、作者のセンスだといえます。何気ない場所の何気ない情景が、異彩を放つことになって、噴水も喜んでいるようです。

@キヤノン EOS KissデジタルNA自作パソコンBアドビシステムズ「フォトショップCS」

作者:「さらにいい写真が撮れるように頑張ります」


◆佳作

「ツーショット!」
西田幸一郎さん (三重県名張市)

評:母と子の記念写真じゃないかといえばそのとおりなのですが、こんなにも素直で優しい雰囲気、そして温かみのあるスナップショットには、なかなかお目にかかれませんよ。この写真からは、作者の家族への愛情が強く感じられます。びしっときまったフレーミングによって、さらにこの作品は輝いています。

■ @キヤノン EOS20DAソニー バイオBアドビシステムズ「フォトショップCS2」DEF−S 17-85ミリ F4−5.6 IS USM

作者:「お宮参りの写真です。佳作に選んでいただき有難うございました。おかげさまで私にも家族にも、またひとつ良い思い出ができました」


「ポチャ」
松田志津美さん (東京都東村山市)

評:健康そうなお子さんのお風呂場でのショットなのですが、頭にかぶったシャワーハットが、何か特別のかぶり物のように感じることが、この作品のおもしろさなのでしょう。親御さんでない限り、こんな写真は写せないとはいえ、人目につく作品にするということは、それなりのセンスがないと難しいのです。

■ @フジ ファインピクスF700

作者:「娘はお風呂に入るのが大好きです。今ではシャンプーハットも不要で、貴重な写真になりました」



「シンメトリー」
飯田英雄さん (愛知県豊明市)

評:最近の建築物には、ミラーを使ったものが多いように思えます。この作品も、そんな感じの建物の内部を写したものと思えますが、シンメトリーの形のおもしろさをクローズアップして、しかもモノクロで表現したことによって、日常的世界から脱皮したような空間が表現されて、それが魅力的に感じられます。

■@オリンパス E−1Aアップル パワーマックG5Bオリンパス「studio」Cエプソン PM−4000PX

作者:「対照的な写り込みがおもしろく、カメラを向けてみました」



「せ〜の」
南沢高志さん (東京都足立区)

評:たくさん応募いただいたネコ写真の中から、これを選んだのはネコ自身のポーズのユニークさです。爪とぎのためネコは立ち上がったのでしょうが、背伸びした瞬間のネコのポーズが、とてもかわいらしい。演出のないそのものを写しとめた、作者の視点と即断力が効果を発揮した作品です。

■ @フジ ファインピクス4800ZA富士通FMW−DESKPOWERBJTrim

作者:「猫の写真は場合によっては腹ばいになって撮影することもあります。この日はわりと楽なほうだったと思います」


「仲間?」
天海亮さん (東京都足立区)

評:ハトのブロンズ像のうえに本物のハトが止まって、三者一体となったような、ちょっと珍しい映像です。作り物と本物のハトの大きさが同じぐらいということと、体の色具合も類似していることが、偶然での出来事のおもしろさを強調した作品になったのでしょうが、それも作者の計算のうちだったのかもしれません。

■ @ニコン D70Aソニー バイオBアドビシステムズ「フォトショップエレメンツ」Cキヤノン ピクサス950i

作者:「まさか佳作に選ばれるなんて思っていなかったので、とても嬉しく思います」


「二人で観る秋」
梶原龍尚さん (兵庫県明石市)

評:飾り窓の曲線の間からのぞく紅葉の美しさ、そして点景になった人物の存在、加えて板敷きの広間に照りかえる秋の色彩が、周りの黒い色によって、その輝きを更に美しく見せています。落ち着きの中で放たれる、秋の色彩を更に輝かせる構図と狙いが、見事に決まった作品だといえます。

■ @キヤノン EOS10DA自作パソコンBアドビシステムズ「フォトショップ6.0」

作者:「床の写り込みに魅せられて特徴的なモデルが登場するまで待って撮影しました。入選ありがとうございました」


「にらめっこ」
羽島誠也さん (神奈川県横浜市)

評:飼育場のガラス越しに見物している子どもたちを見つめるトラ、その強い表情のわりに怖さを感じないのは、ガラスの曇りか反射のせいなのか?いずれにしろ効果的な場所で出くわした動物と人間との対比は、人間が後ろ向きであることが分かります。この場合はその効果が作品の強さになったといってよいでしょう。

■ @オリンパス E−1A日立 プリウスBアイフォー「デジカメNinjya2003」Cキヤノン BJ F9000DズイコーED50〜200ミリ F2.8〜3.5

作者:「今まで花中心で撮ってきましたが、これを機に挑戦していきたいと思っています」


「あっち…こっち 雨上がりの帰路」
中山秀昭さん (福岡県大野城市)

評:傘を手に持った二人の小学生が道ですれ違い、ランドセルとランドセルがまるでくっつきあった感じになった瞬間の、見事なシャッターチャンスの作品です。道端の情景も雰囲気がありますね。少女たちの帽子の色の違いが、別の面で思わぬ効果を発揮したように感じます。

■ @コニカミノルタ α−7DA自作パソコンBアドビシステムズ「フォトショップCS」Dタムロン AF28〜300mm XR Di

作者:「自分の子供と同じぐらいの子供たちの行動には、やはり目を奪われてしまいます」


「カワセミの放尿?」
中島忍さん (長野県諏訪市)

評:鳥というのは、哺乳類のように尿と糞を別々に排出するのではなく、両方が一緒になったものを糸を引くように体外へ放出するのですが、その瞬間はなかなか写せるものではないし、写ってもくれません。そんな野鳥の排出の瞬間を捉えた中島さんの観察力は、じつに見事だといわざるを得ません。

■ @キヤノン パワーショットS2 ISDテレコンバーター使用

作者:「初めてカワセミを見た時、体が震えた。その時と同じ感動を受け、今後の励みとなります。ありがとうございました」


「特等席」
湯川守さん (和歌山県和歌山市)

評:黄色い花の反対側から頭だけを出したバッタ、そんなシーンを昆虫の生態にとらわれないで写した作品は、ユーモラスな感じが強調されたさわやかなものとなっています。タイトルのつけ方も、作者の被写体に対する考え方が反映されて、感性の豊かさを伝えているように思われます。

■ @キヤノン EOS20DANEC LavieCDEF−S60ミリ F2.8 マクロUSM

作者:「自分の特等席だといわんばかりに可愛らしいバッタが花を独占しているのは、とてもユーモラスでした」


「金色の男」
勝山勝一さん (愛知県江南市)

評:スキンヘッドの男性が、全身に金粉を塗ったのは、何かのショーの一幕なのかもしれません。隈取というかアイラインを描いた目元と金色の対比が、吹き出す汗と雨しずくによって、更に不気味さを増すように見えることが、この作品のインパクトを更に強める結果になったようです。

■ @キヤノン EOS10DAソニー バイオPCV−LX93G/BPBアドビシステムズ「フォトショップ5.0」Cキヤノン ピクサスip8600DEF28〜135ミリ is

作者:「小雨の降るなかのショーが終わり、雨と汗で“金粉”が流されるところを狙いました」


「散歩道」
大竹誠さん (埼玉県朝霞市)

評:この作品の作者は、いつもメルヘンの世界に引きずり込むような感じのものを応募してくれますが、今回もそんな思いを増幅するようなものとなっています。道の両側に咲き誇るコスモスの花、そして点景となった犬を連れた人物が、単調さをあぶるアクセントとしての効果を発揮しています。

■ @オリンパス C−4100 ZOOMANEC LavieCBアドビシステムズ「フォトショップエレメンツ」Cエプソン PM−970C

作者:「いつも散歩にはデジカメを連れて行きます。コスモスが咲く秋の光と、ひとときを楽しんだ時の一コマです」


◆特別賞

「逆襲」矢野あずさ さん (愛知県愛知郡)

作者:「動き出した白熊に犬達が近寄り、睨めっこ状態から思わぬ展開になり、夢中でシャッターを押しました。必死で逃げる白熊が何だか間抜けな感じがして…」

評:ちょっと信じられないようなシーンだということは、一目瞭然だといえます。通常なら、ホッキョクグマのほうがイヌよりは強いはずなのですが、この場合は特別の事情があったのでしょう。動物の生態のことはともかく、流し撮りをしたことにより、動物の動きが見事に美しく再現されています。稀有ともいえるシーンとの出会いを、見事に写しとめたことに拍手を!

■ @キヤノン EOS KissデジタルNA自作パソコンBアドビシステムズ「フォトショップ」


◆努力賞

「ワイキキの夕暮れ」杉野邦彦さん (三重県桑名市)

評:レタッチで加工した色彩が、十分に発揮された作品です。ヤシの木と人物のシルエットに対して、水平線から上の空の部分の輝きが、南国の島の夕暮れを強調して、実際のものよりその輝きと空気感を強調することになったように思われます。絵画のような作品もデジタル効果なのでしょう。

■ @オリンパス C−5060WZA富士通 FMV L50EBアドビシステムズ「フォトショップCS」

作者:「ワイキキ海岸の夕景です。パソコンでシルエットを完全にモノクロ化。夕焼けの空の色を強調して彩度を上げてみましたす」



「秋流」萩尾輝比己さん (福岡県筑後市)

評:フレームの中から乱れ散るように湧き出したモミジの葉の連続が、秋の輝きとときめきを更に膨らませています。作者の思いをイラスト風に加工して表現したセンスと努力は、見事な効果を発揮した作品へと昇華したわけです。強さと淡さを兼ね備えた、ハイセンスな品格の表現に好感がもてます。

■ @フジ ファインピクスF601ANEC バリュースターBJasc 「ペイントショッププロ7J」

作者:「秋は四季の中で一番、曖昧な季節だ。強烈な夏が終わると風はすでに冬を孕んでいる。その風の中で紅葉は生まれ流れていく」



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