評/吉野 信

よしの しん/日本写真家協会、日本旅行作家協会会員。世界中を飛び回り動物や自然を撮り続けている動物・自然写真家。自然保護にも力を入れる。NHK文化センター写真大賞、前田真三賞をはじめ、各種フォトコンテストの審査や講演を行っている。近著に『ピュアハート』(永岡書店)、『アフリカを行く』(中央公論新社)など。http://www.yoshinouniverse.com/

使用機材 (1)カメラ(2)パソコン(3)ソフト(4)プリンター(5)その他


月例デジタルフォトコンテスト【4月号】

◆金賞

「光景」 時津伸一さん(愛知県知多郡)

■@オリンパスE-330 A自作機 B市川ソフトラボラトリー「シルキーピックス デベロッパースタジオ3.0」、アドビ「フォトショップCS」

作者:「水族館の大水槽は、青一色の幻想的な世界でした。そこに突然、巨大なシャチが姿を現したのですが、観客たちはシャチのあまりの巨大さに声も出ない様子でした。まるでシャチを中心とした世界がそこに現れたかのようでした」

評:とにかくインパクトがある作品です。それは、ブルーがかった全体の色彩に加えて、水槽内を泳ぐシャチの存在と観客たちとのバランスが見事に決まっているからです。見る人と泳ぐシャチとの関係は、水族館内では当たり前の光景ですが、広角レンズでとらえた視点と画面構成のうまさも際立っています。さながら立体映画を見ているようであり、また沈黙の世界にたたずんでいるような不思議な感じも醸し出されていて、まさに秀作といえます。


◆銀賞

「帰り道」 戸端英晴さん(兵庫県加古川市)

■@ニコンD70 A自作機 B市川ソフトラボラトリー「シルキーピックス3.0」

作者:「祭りの日、神主総代など関係者の記念撮影中、祭り見物から帰る途中の保母さんと手押し車に乗せられた園児が通りかかりました。終わるのを待とうとしましたが促されて、通り過ぎようとしたところを幸運にも偶然撮影することができました」

評:神主さんの装束に身を包んだ人たちは、お祭りか何かの最中なのでしょうか? その状況は推測するほかないようですが、その前を手押し車に乗った園児たちが通りかかったという情景ですね。たまたま偶然に重なったのでしょうが、両者の対比が何となく不思議でありながらも、あまり違和感を覚えません。というのも、必要な部分だけをしっかりととらえた作者の感性と審美眼の鋭さだと感じます。


「至福の時」 栗原眞純さん(京都府京都市)

■@ニコンD200 ASOTEC PC-STATION Bアドビ「フォトショップCS」 DPLフィルター

作者:「大銀杏とそれを見る人との間に漂う気持ちなど、作者の感じたこと、言いたかったことをすべて書いてくださった選者、そして立派な銀杏の木がある場所を教えてくださったお姉さんに感謝します」
評:黄葉最盛期の銀杏の大木が、実に見事に写されています。そして、その根元で二人のお遍路さんが大木を見上げている状況を、うまいフレーミングで切り取っています。作者の感性が光っていますね。人間を傍らに配することによって、木の大きさが歴然とわかるだけでなく、人間と植物間の心の交流といった、精神的な世界までもを映し出しているといっても過言ではないでしょう。品格に満ちた作品です。

◆佳作

「黄昏に待つ」 若園 建さん(千葉県松戸市)

評:無人駅の改札近くで、電車の到着を待つ一人の女性。その後ろ姿が郷愁を誘い、何かを語りかけてくるようです。また、長く尾をひいた影が、アクセントとしての効果を高めています。

■ @ソニーα100 Aエプソンダイレクト Endeavor MR3100 Bエー・アイ・ソフト「デジカメDE同時プリント9」

作者:「列車の本数が少ないローカル線の無人駅で、じっと列車を待つ女性がいました。太陽がだんだんと沈み始めるとともに、改札の格子と女性の影が長く伸びてきました。旅情を感じさせる光景が印象的でした」


「2007年 初 ダルマ!」
高畑和幸さん(岡山県岡山市)

評:北海道では、冬の時期こんな形の太陽が昇るのですが、この撮影地は違うようですね。見事な形の初日の出の姿、色彩の輝きもタイトルの付け方も決まっています。

■@キヤノンEOS KissデジタルN ANEC VALUESTAR VL300/2 Bアドビ「フォトショップエレメンツ4.0」 D三脚

作者:「昨年の秋、白内障と診断され、そんなときのお正月に撮った写真です。なので、今回の入賞は、大変うれしく思っています。現在は手術も成功して、普通の生活を送っています。また入賞できるように頑張ります」



「うれし恥ずかしくすぐったい」
安部和彦さん(東京都杉並区)

評:母子の交歓情景を素直に写していますね。これはもう理屈抜きに、優しさや愛情を感じ伝える作品です。また赤ちゃんの表情が、タイトルの世界観をそのまま物語り、かわいらしさにあふれています。

■ @ニコンD50、タムロンSP AF90ミリF2.8Diマクロ A富士通 FMV NB75J Bニコン「ニコンキャプチャー4.0」

作者:「沖縄のホテルのテラスで撮影したものです。午後の日ざしで、多少顔が暗くなりそうだったのが気がかりでしたが、女の子の表情がいい具合にくすぐったそうだったので、シャッターを切りました」



「ひょっとこ踊り」
富士岡高士さん(静岡県静岡市)

評:お祭りで踊る3人のひょっとこを狙っただけあって、見事に決まった画面構成となっています。これはまさに、お祭りのポスターにしたいようなうまさがありますね。

■@キヤノンEOS KissデジタルN、タムロンSP AF17〜35ミリF2.8〜4Di ANEC LaVieC Bマイクログラフィックス「ピクチャーパブリッシャー7」

作者:「手前と後ろのひょっとこが、ちょうどいい位置に、バランスよく収まるように、シャッターチャンスを逃さぬよう撮影することに苦労しました。それだけに、佳作に選ばれてうれしかったです。ありがとうございました」


「もう一花咲かせて」
横田佳美さん(群馬県多野郡)

評:落ち葉の間から咲いたのかと思いましたが、ロウバイが落ち葉の上に鎮座したところだそうです。この作品は、タイトルに作者の思いが込められた、ユニークな視点だと感じました。

■@ キヤノンEOS KissデジタルX Aソニー VAIO Bヒサゴ「デジカメ どう?ラク!」

作者:「『デジキャパ!』発売日に本屋で、佳作入選の自分の写真を見つけたときは、周りに人がいるのに喜びました。視線の低い私は、枯れ葉を座布団にしたロウ梅がきれいに見えました。これからも夫婦で写真の旅を続けたいと思います」


「広島のなまはげ」
沖田一紀さん(広島県廿日市市)

評:広島にやってきた秋田のなまはげ。場所の問題はともかく、鏡に映り込んだ世界を効果的に作画しています。また赤い服の女性が、アクセントとして効果を高めています。

■@オリンパスE-330 Aマウスコンピューター EGP805DP20 Bオリンパス「オリンパススタジオ」

作者:「このたびは佳作に選んでいただき、ありがとうございました。湾曲した鏡が織り成す世界。また出掛けて行きたいと思います」


「吹雪の日」
川口善也さん(岐阜県多治見市)

評:身をかがめて歩く人の姿から、吹き付ける吹雪の感じが推測できます。こんな悪天候の日にしっかりと被写体を選んで、作品に仕上げた作者の努力は脱帽ものだといえますね。

■ @キヤノンEOS20D、タムロン28〜300ミリF3.5〜6.3 Aフェイス シードキューブ Bアドビ「フォトショップエレメンツ3.0」

作者:「吹雪の日に、タオルでカメラを守りながら写真を撮りました。氷点下の中でも、デジカメはよく活躍してくれました。努力が認められて、うれしく思います」


「水面との共演」
門田慶之さん(宮城県仙台市)

評:ハクチョウの飛翔姿はたくさん見ていますが、この作品の素晴らしさは、水面すれすれに飛んでいる姿が水面に対照的に映り込んでいるところです。そして、さざなみが動感を強調しています。

@ペンタックス*istDS ASOTEC Bアドビ「フォトショップ6.0」

作者:「撮影地の白石川は、川幅があまり広くないわりに、よく白鳥が飛び交うので、飛翔シーンを撮りやすいポイントです。朝の光のよい時間帯を狙いました」


「恋のおみくじ
おおむらりょうさん(東京都杉並区)

評:おみくじを縛り付ける場所に立つカップル。意図してブラした画像が、この作品ではとても効果的に感じられます。色彩のバランスがパステル調で、淡い美しさがあります。画面構成も決まっています。

■ @オリンパスE-300 ANEC LaVieU LU50/5

作者:「初詣に行ったとき、カップルが後ろを向いている間に、さっとバレないように1枚だけ撮影したものです。慌てていたので、ブレて露出オーバー気味ですが、パソコンで見たら美しかったので応募してみました」


「夜明けの湖畔」
松本研一さん(岡山県岡山市)

評:夜明けの薄明かりに浮かび上がる2羽のシラサギ。手前に広がる湖面の青白い色彩とともに、何か幻想的な世界を描き出しています。日本画のような格調の高さを感じる作品です。

■ @ニコンD200、AF-S DX VRニッコールED18〜200ミリF3.5〜5.6G[IF] A自作機 Bニコン「ニコンエディター」

作者:「先月の鵜の写真に続き、連続で入賞することができて、大変うれしく思っています。きしくも、どちらも鳥がらみの写真ですが、鳥のいる風景写真を私の作風のひとつとして、これからも頑張っていきたいと思っています」


◆特別賞

「龍宮城へ」 青山エリーさん

評:水族館での撮影ということは歴然としているのですが、ウミガメを画面いっぱいに写し入れたこと、上に向かう姿勢と画面上部の青い色、加えて全体の雰囲気に、作者が意図した世界観が表現されていると感じました。

■ @キヤノンEOS KissデジタルN Aソニー PCV-HX61B7 Bアドビ「フォトショップ7.0」

作者:「水槽のフチが写ってしまったので、自分でもとても残念だったのですが、幻想的な感じが好きだったので応募しました。賞をいただけて光栄です。ありがとうございました」



「光の町」 岡部誠二さん(長崎県長崎市)

評:豪華客船の存在と美しく散りばめられたイルミネーションによって、どこか外国の港かと思いました。そしたら、長崎港ということ。画面全体の力強さと色彩の美しさを、見事に活写した作品だといえます。


■@ニコンD50 Aソニー VAIO PCVW500 Bアドビ「フォトショップエレメンツ3.0」 Cエプソン PM-A950 D三脚

作者:「ここは、長崎の街を一望できる私のお気に入りの場所です。この日、大型客船二隻が停泊し、その一隻が出港するところです。長崎で建造されたサファイアプリンセスは、巨大で美しく、街は宝石のように輝いていました」



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