デジタルフォトコンテスト

月例デジタルフォトコンテスト入賞作品【2008年4月号】

評/清水哲朗

しみず・てつろう/1975年、横浜生まれ。写真学校卒業後、写真家・竹内敏信氏に師事し、23歳で独立。ネイチャーからドキュメンタリーまで幅広く活躍。2005年、第1回名取洋之助写真賞受賞。2007年、NHK教育テレビ『趣味悠々』でデジタル一眼レフ風景撮影術入門の講師として出演。著書に『モンゴリアンチョップ』(NNA刊)などがある。
⇒ブログ「デジ侍写活日誌」


一眼レフカメラ・金賞

「ゆうぐれどき」 前川雅弘さん(兵庫県加古川市)
「ゆうぐれどき」前川雅弘さん

■ニコン D200、18〜200ミリ

評:1枚の写真で、何かを語るほど難しいことはありません。フォトジェニックな夕暮れどきには数々のドラマがありますが、それらすべてをひとつの画面内で表現するのはなおさら難しいものです。しかし、作者は抜群の距離からとらえることに成功しました。ここに写っているすべての人物がいきいきとし、声が聞こえてきそうな錯覚を覚えます。誰もが主役。誰もが脇役。雰囲気を感じるいい写真とはこういう作品のことをいうのでしょう。

作者:先生にすごく褒めていただき、うれしさいっぱいです。年に数回行く場所ですが、この日はめずらしく穏やかな日で、行けば何かドラマに出合い、楽しい撮影地です。いろんな人との出会いがあります。


コンパクトカメラ・金賞

「視線」 中村秀哉さん(千葉県市原市)
「視線」中村秀哉さん

■パナソニック ルミックスFZ10

評:無機的な人工物からの視線をふと感じたとき、人間はどう対応するのでしょうか。作者は展示された航空機のエンジンを見ているうちに、こちらを凝視している存在に気づいたようです。二等辺三角すい状に照らされた光の中からのぞく“眼”はやや不気味ですが、こちらに何かを語りかけているようにも見えます。無駄のないフレーミングのおかげで緊張感、臨場感がこちらにも伝わり、作品としての質を一層高めています。

作者:航空機のエンジンの奥に、まるで人間の目玉かと思うようなものが、じっとこちらを見ていました。私を見ているその視線が、不気味でもあり恐ろしくもありました。初めての金賞! とてもうれしいです。ありがとうございました。


佳作

「夕刻」 山崎雅広さん(石川県金沢市)
「夕刻」山崎雅広さん 評:持ち主を待つ自転車。影を落とすその姿は、デザインされた地面の丸たちとつかの間の会話を楽しんでいるよう。何気ない光景ですが、シンプルな構図で表現したことで、作者のイメージした世界が素直に伝わってきました。
■ニコン D80、シグマDC17〜70ミリF2.8〜4.5
作者:この写真は、浜松の駅前で撮ったものです。めぼしい被写体もなく諦めかけていたところに、この光景が飛び込んできました。何度がシャッターを切ったうちの1枚です。
「小さな酔っ払い」 勝山勝一さん(愛知県江南市)
「小さな酔っ払い」勝山勝一さん 評:大人目線のイタズラということは一目瞭然。実際はそんなことはないのでしょうが、なんともユニークな場面に遭遇したものです。でも、この子が起きたときに、まだビールを手にしていたら相当怒るでしょうね。
■コニカミノルタ ディマージュA200
作者:頑張りすぎて疲れ果ててしまい、場所を選ばず路上に横たわり、気持ちよく眠る子どもに、大人たちがいたずらしました。そんな祭りの日のひとコマを狙いました。
「愛犬家」 山森真司さん(愛知県一宮市)
「愛犬家」山森真司さん 評:背中だけで被写体の存在感を表現するのは、意外と難しいものです。被写体自身が、存在を示す何かを背後にも発していないと、撮れるものではありません。作者の絶妙な距離感と空間構成がそれらを見事に写し出しました。
■ニコン D80
作者:この作品は、大阪城公園の梅園でのひとコマです。先生のご指摘のように、人の背中で何かを表現することは難しいことです。今回は被写体に助けられ、幸運でした。これからもご指導の程、よろしくお願いいたします。
「両手を広げて」 河村 茂さん(兵庫県神戸市)
「両手を広げて」河村茂さん 評:若さと勢い、それだけで被写体として十分魅力的です。踊る青年とオブジェの形がリンクしたとき、作者はここしかないというシャッターチャンスを感じたことでしょう。作者も楽しんで参加していたのが目に浮かびます。
■ニコン D40
作者:フォトコン初受賞です! よさこいの衣装、踊り子の躍動感、最高の笑顔、そして観客と踊り子が一緒になって楽しめる、それがよさこいの魅力です。いつも元気をもらっています。ありがとうございました。
「タイムマシーン?」 足立幸弘さん(鳥取県米子市)
「タイムマシーン?」足立幸弘さん 評:被写体に対しての作者の思いを反映した個性的な着眼点は、見る側に静かなインパクトと心地よい余韻を与えてくれます。セピア調にしたことで余計な色情報をなくし、古めかしさを演出した点も高く評価できます。
■フジフイルム ファインピックス4500
作者:何に使用していた物なのかわからないのですが、なんとなくタイムマシーンのようにも見えました。時代を意識させるため、セピア調というか、色あせた感じに仕上げました。清水先生にそこを評価していただいて、うれしかったです。
「二人の思い出」 赤石哲也さん(神奈川県横浜市)
「二人の思い出」赤石哲也さん 評:計算されたシンプルな構図と配色により、映画のワンシーンを見ているかのような印象を受けます。眩しそうに手をかざしながら遠くを見つめる女性の存在も効果的でした。写真を見て物語が想像できる作品です。
■ニコン クールピクスP5000
 
「我が影」 小関義徳さん(千葉県市原市)
「我が影」小関義徳さん 評:わざわざ一眼レフを構えて、もう一方の手に持ったコンパクトカメラで自分の影を写すなんて……、努力賞モノの作品ですね。キャンバスにした白い壁には何もありませんが、こういうやわらかな発想は大切にしたいものです。
■キヤノン IXYデジタル910IS
作者:真っ白な壁が印象的だったので、自分の影を写してみました。いろんなポーズをとってみましたが、カメラを構えた姿がイチバン気に入ったので、この写真を選びました。
「静寂」 井田すみさん(東京都世田谷区)
「静寂」井田すみさん 評:朝のプールサイドをブルートーンに写したことで、タイトルにあるような静かな世界が撮れました。ホワイトバランスの電球モードを意図せずに選択してしまったことがかえって功を奏したようです。偶然も実力のうちです。
■オリンパス キャメディアSP-550UZ
作者:マデイラ島の静かな朝。誰もいないプールと海。夢中でシャッターを切って気が付いたら、ホワイトバランスは前夜の電球モードのまま。でも、怪我の功名の効果に「偶然も実力のうち」との優しいお言葉。今後は、意識的にこの技法を使います。
「カイロ上空」 栗原眞純さん(京都府京都市)
「カイロ上空」栗原眞純さん 評:勢いのある作品です。これがどこの上空だとか、ブレて写っているとかいうよりも、綺麗だなと思った瞬間に素直にシャッターを押したことが、よい結果をもたらしました。作者の感動が画面からひしひしと伝わってきます。
■オリンパス キャメディアSP-550UZ
作者:航空機からの眺めは、すきな被写体のひとつです。着陸時に機体が左右に傾きますが、動きが速く、夜の撮影は難しいものです。着陸前の流れる夜景を、ほぼイメージどおりに撮影できたと思います。
「私が書いたのよ」 富士岡高士さん(静岡県静岡市)
「私が書いたのよ」富士岡高士さん 評:どんど焼きとか、そういう場所での光景でしょうか。少女にとってこの写真は、将来のよき思い出となるはずです。ただ、この場所で書初めを広げている関係性をタイトルに込めていたら、もっと第三者にも伝わるでしょう。
■キヤノン EOS KissデジタルN、EF24〜85ミリF3.5〜4.5
作者:いつもタイトルを付けるのに苦労します。これも最初は「どんど焼きの日」にするつもりでした。選評を見ると、こちらのほうがよかったかなと後悔しています。
「地底空間」 時津伸一さん(愛知県知多郡)
「地底空間」時津伸一さん 評:コンコースに描かれた絵と、ブルーライティングの組み合わせを生かしたことで、人々がまるで深海を散歩しているかのような印象を受けます。ただこの場合、タテ位置で撮影していたらもっと迫力が出たでしょう。
■オリンパス E-330、ED8ミリF3.5フィッシュアイ
作者:地下通路に出現した不思議な世界。この光と影が入り乱れた不思議な光景を見ていると、まるで自分が異次元の世界に迷い込んでしまったかのような感覚を覚えました。
「光輪」 黒澤一章さん(群馬県多野郡)
「光輪」黒澤一章さん 評:火を回す伝統行事を、スローシャッターで効果的にとらえた作品です。小さな輪と大きな輪が画面内に同時に写り込んだことで、力強さも感じられます。周囲の余分な空間をカットしていたら、もっと緊張感が伝わりました。
■キヤノン EOS-1Ds、シグマ28〜200ミリF3.5〜5.6
作者:毎年お盆に行われる、束ねたワラを縄で縛って、グルグル回す伝統行事。スローシャッターで回すことによってできる大きな光の輪を狙いました。
「はぁもにぃ〜♪」 南由美子さん(大分県宇佐市)
「はぁもにぃ〜♪」南由美子さん 評:古いオルガンとそれを包むやわらかい光。鍵盤も古く、もう誰も曲を奏でることはないのでしょうが、フィッシュアイレンズで可愛くとらえています。作者が込めたオルガンへの愛情が画面から伝わってきました。
■オリンパス E-3、ED8ミリF3.5フィッシュアイ
作者:「かなしいときも、うれしいときも、いつもこころにながれる、えがおとわらいごえ」 オルガンを囲んで、今にも子どもたちの歌声が聞こえそうでした。メロディーは心にしみるハーモニーとなって。
「おめでとう! さぁ!」 浦上正剛さん(神奈川県藤沢市)
「おめでとう! さぁ!」浦上正剛さん 評:気の知れた仲間が、新郎を祝福する結婚式でのひとコマ。皆が幸せに包まれている瞬間を、抜群の角度からとらえています。タイトルの付け方も上手く、「さぁ!」がこの作品の臨場感をより盛り立てています。
■キヤノン EOS KissデジタルX、タムロン28〜75ミリF2.8
作者:自分自身の結婚式で、上司の方にステキな写真を撮っていただいたのをきっかけに、デジタル一眼レフを始めました。そしてこの写真は、その2か月後のものです。結婚式という場の写真を選んでいただいたこと、とてもうれしく思います。
「闇」 斎藤 一さん(兵庫県神戸市)
「闇」斎藤 一さん 評:夜の散歩は、昼間気づかないモノたちであふれています。効果的なライティングと空間構成により、主役の存在感を見事に感じさせています。こんな時間にこんな場所を歩いていた作者の心情も写ったのかもしれません。
■コニカミノルタ αスイートデジタル、カールツァイス16〜80ミリF3.5〜4.5
作者:これはRAW現像の練習のために撮ったものです。うまくできたのでコンテストに応募したところ入選したので、たいへんうれしく思っています。来月分も入選しているといいのですが……。
「楽しい日」 市野哲也さん(兵庫県三田市)
「楽しい日」市野哲也さん 評:日常を感じる作品です。女性が心から楽しんでいる姿が画面から伝わり、互いが信じあっている関係も見えてきます。こういう場面を連続してとらえておくことで、私写真は完成していくのかもしれません。
■フジフイルム ファインピックスS5Pro、ニッコール50ミリF1.4
作者:この作品は、彼女らしさが切り取れた1枚です。今回の掲載は、彼女のおかげです。この度は、掲載していただきありがとうございました。これからも白咲花共々、よろしくお願いいたします。
「みつめて…」 田邉力哉さん(東京都昭島市)
「みつめて…」田邉力哉さん 評:可愛らしい瞳でこちらを見つめる子ネコ。その瞳の中には、作者と子ネコを見つめる女性の姿。逆光とやわらかなボケを活かしたことで、やさしく包まれていたその場の時間を感じさせてくれる作品になりました。
■ニコン D80、ニッコール35ミリF2
作者:清水先生、この度はご選考いただきありがとうございます。我が家の新しい家族となった「ももちゃん」。来た当日の1枚です。不安とすべてをゆだねる瞳。優しさと責任感の瞳。評のとおり、やわらかな時間でした。
「干潟の朝焼け」 梶原龍尚さん(兵庫県明石市)
「干潟の朝焼け」梶原龍尚さん 評:逆光に輝く干潟と釣り人のシルエット。たったそれだけの組み合わせですが、計算されたバランスのとれた構図により、印象的な朝の光景に仕上げています。大きくプリントして飾りたい作品です。
■キヤノン EOS KissデジタルX
作者:この度は、入選ありがとうございました。作品は、新舞子の干潟風景で撮り古されておりますが、人物のシルエットが配置できたので、普段と違った写真になったと思います。入選を励みに、さらに努力したいです。
「初日」 羽島誠也さん(神奈川県横浜市)
「初日」羽島誠也さん 評:初日の出撮影でのひとコマ。望遠レンズで凝縮した画面により、作者の感動が迫力とともに伝わってきます。赤レンガ倉庫と富士山だけでなく、多くの人物が入ったことで、スケールをさらに感じる仕上がりになりました。
■オリンパス E-3、ED50〜200ミリF2.8〜3.5
作者:初日の出を大桟橋に写しに行ったが、場所がよくなくガッカリしていた。後ろを見ると、初日の出を受けた赤レンガ倉庫と富士がクッキリ。幸せな初春でした。レタッチで少々赤を強調した。
「遊覧船」 久保惠祐さん(和歌山県岩出市)
「遊覧船」久保惠祐さん 評:目の前に広がるのはいつもと変わらない日常風景。それを斬新なアングルから狙ったことにより、臨場感の優れた作品になりました。枠を取り入れただけで、見ている側にも乗っている錯覚を感じさせた着眼点は見事です。
■オリンパス E-500
作者:曇天の撮影で色は悪かったのですが、何となく気になっていた写真だったので、写りの悪い部分をカットして応募しました。独りよがりの作品と思っていましたが、選んでいただいて、ありがとうございました。

※禁無断転載・このサイトのいかなる画像、テキストファイルも無断で複写、転用することを禁じます。
COPYRIGHT 学研 デジキャパ!編集部 ●designed by Yumiko Hayashi

このページのトップへ