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報道カメラマンの現場村田諒太 WBAミドル級新王者に!ボクシングの歴史に残る瞬間をEF500mmの描画力が活写した

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ロンドン五輪の金メダリスト・村田諒太選手が、WBA(世界ボクシング協会)のミドル級チャンピオンに輝いた。五輪メダリストとしては日本人初となる快挙を撮影した朝日新聞の写真記者に、レンズに対する思いや取材の舞台裏を聞いた。

WBA世界ミドル級・村田諒太VSエンダム戦(C)朝日新聞社
2017.10.22 ロンドン五輪の金メダリスト・村田諒太選手がWBAミドル級の新王者に
5月に判定負けし、両国国技館でリベンジマッチ(ダイレクトリマッチ)に臨んだボクシングの村田諒太選手。対戦相手のアッサン・エンダム選手を攻めるシーンを EF500mm F4L IS II USM で捉えた。そのキレのある描写はもちろん、素早く正確なAF性能が、“魂の拳” を鮮烈に切り取ってくれた。7ラウンド終了時点で試合がストップし、村田選手のTKO勝ち。EFレンズが刻んだ、WBAミドル級の新チャンピオン誕生の瞬間だった。
キヤノン EOS-1D X Mark II EF500mm F4L IS II USM 絞りF4 1/1000秒 ISO 4000 WB:白熱電球

村田選手の気迫を狙うため単焦点の超望遠にこだわった!

朝日新聞社 東京本社 映像報道部・関田航さん「撮りたいオーラですかね」。
この秋、注目を集めた村田諒太選手のWBAミドル級タイトルマッチを担当した経緯を質問したとき、朝日新聞の写真記者・関田航さんはこう表現した。
「5月に村田選手がプロ初の判定負けを喫した試合を撮影させてもらいました。手を挙げた記憶はありませんが、もしかしたら “撮らせてくださいオーラ” を発散していたのかも(笑)」

白い歯を見せると、続けてレンズ選びの理由も明かしてくれた。ポイントは焦点距離と画質。
「春の試合は有明コロシアムで EF200-400mm F4L IS USM を使い、もっと寄るべきだったとの課題が残りました。今回は両国国技館だったため、過去のボクシング写真も参考にし、かつ再戦に懸ける村田選手の表情に迫りたいとの思いで、EF500mm F4L IS II USM に決めました」

使用頻度はヨンニッパがはるかに高いとはいえ、個人的な好みとしては500mmも甲乙つけがたいという。
「この500mmレンズはさすが単焦点だけあって、クリアでシャープな画質は目を見張るほど。動きの速いスポーツ撮影でも難なくAF追従してくれるところも助かります。これは EOS-1DX Mark II とのマッチングにもよるのでしょうけれど、今までストレスに感じた覚えがありません。また、村田選手の撮影では今回、三脚を使いましたが、一脚や手持ち撮影の場合でも取り回しがラク。比較的軽量で、見た目以上に使い勝手のいい1本です」

再戦に燃える村田選手の “拳” を浮き彫りにするため選んだ超望遠セット

超望遠レンズでは最もお気に入り

100-400mmや200-400mmズームではやや短いと読み、選ぶべきメインレンズは500mmと踏んだ。「選手の姿を余すことなく描きたかったので、画質性能を念頭に判断しました」(関田さん)。“ゴーヨン” は焦点距離の割に軽量なため、手持ち撮影が十分可能な点もメリット。現在、東京本社には3本の共用レンズが臨戦態勢に置かれている。
キヤノン EOS-1D X Mark II+EF500mm F4L IS II USM

村田諒太選手WBA戦の主要機材

当日は2台の EOS-1DX Mark II に EF500mm F4L IS II USM と EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM を装着。EOS-1D X に EF70-200mm F2.8L IS II USM、記者会見用として EOS 5D Mark III に EF24-70mm F2.8L II USM を装着して臨んだ。100-400mmミリは選手がダウンした場合など、やや広めの絵柄を想定してラインナップ。
村田諒太選手WBA戦の主要機材
〈カメラ〉EOS-1DX Mark II(2台)、EOS-1D X、EOS 5D Mark III 〈レンズ〉EF24-70mm F2.8L II USM、EF70-200mm F2.8L IS II USM、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM、EF500mm F4L IS II USM、EXTENDER EF1.4×III 〈その他〉スピードライト600EX-RT、メモリーカード 64GB CFast(EOS-1DX Mark II)/ 16GB CF(EOS 5D Mark III)、ノートPC、カメラザック(thinkTANK photoエアポート・コミューター)、三脚(ハスキー3段)、脚立
キヤノン EF500mm F4L IS II USM
圧倒的な描写性能が頼もしい
EF500mm F4L IS II USM で評価しているのは、やはりシャープな画質。新聞はトリミング使用も少なくないため、「少しでも解像感に優れたレンズを使いたい」との意図だ。画像設定はJPEG・Lが基本だが、圧縮率は低めに抑えている。
キヤノン EOS-1D X Mark II+EF500mm F4L IS II USM
AFスピードは写真の成否に直結
動画と異なり、一瞬が勝負の写真撮影では、レンズのAF合焦速度や精度が決め手になる。その点、「EF500mm F4L IS II USM は申し分ありません」(関田さん)。測距エリア選択モードは常に「1点AF」にするのが関田流。
キヤノン EOS-1D X Mark II+EF500mm F4L IS II USM
2台のシンクロ撮影で万全を期す
EF500mm F4L IS II USM 装着のカメラを雲台に、EF70-200mm F2.8L IS II USM 装着のもう1台をクランプで三脚の脚に取り付け、2台を同調撮影した。そのため三脚はより頑丈なハスキーの3段を選んでいる。
キヤノン EOS-1D X Mark II+CFast
速さ重視の報道ではCFastのスピードがありがたい
「EOS-1DX Mark II にCFast カードを挿す機会が増えている」と語る関田さん。とりわけ今回のようなスポーツ撮影で相当数のシャッターを切るときは、CFast2.0の最高性能が助かるという。「特に、PCに転送(コピー)するときなどは『速っ』と驚きます。速報が使命の現場ですから、かなりの恩恵を受けています」。

カメラバッグの中、拝見!

今回の試合も含め、取材時は常に携行しているという機材がこちら。取材現場での意外な必需品や、特注で作ってもらったというアイデアグッズも見せてもらった。

ここぞというときに頼れる1本

試合当日の状況を振り返りながら、EF500mm F4L IS II USM で撮影した感想を関田さんに聞いた。

EFレンズの高い機動性で自分も瞬発力を発揮できた

2017年10月22日、会場にはボクシングファンや関係者の一種異様な熱気が溢れていた。五輪の金メダリストがプロに転向し、「不可解な判定」と称された試合のリベンジマッチが控えていたからだ。関田さんは1階席最後尾のエリアに陣取ると、EF500mm F4L IS II USM を装着した EOS-1DX Mark II を大型三脚に取り付け、さらに EF70-200mm F2.8L IS II USM 装着のもう1台を1本の脚にクランプで固定した。

「リングサイドはスポーツ紙や専門誌のカメラマン優先という慣例もありましたし、何より村田選手の表情を克明に浮き上がらせたかった。で、朝日のカメラマンは私一人だったこともあり、広い絵柄も押さえておきたかったので、結果、変則的なセッティングになりました」

試合は対戦相手のアッサン・エンダム選手がジャブなどを繰り出しプレッシャーをかけ、村田選手がそれに応戦する形でスタートした。
「パンチが出たのを見てからシャッターを切ってはとうてい間に合わないので、『動く』と思ったら数コマずつ高速連写する。サッカーなども同じですが、動きをある程度予測して一瞬早めに切るんです。その意味では、撮影もスポーツそのもの。瞬発力が必要ですね」

7ラウンド。ついに “そのとき” が訪れた。五輪の日本人金メダリストがプロでも世界王者についたのは初。選手層が厚いミドル級での日本人王者も、竹原慎二選手から22年ぶり。関田さんがEFレンズで捉えたのは、ボクシング史の新たな1ページでもあった。

村田諒太選手がWBAミドル級新王者に輝いた瞬間を活写した超望遠レンズ

キヤノン EF500mm F4L IS II USM
キヤノン EF500mm F4L IS II USM
フルサイズ対応の大口径超望遠レンズ。高画質と軽量化を両立させ、プロの過酷な使用に耐える高い耐久性と堅牢性も備えている。今回は三脚を使用しての撮影だったが、シャッタースピード換算で約4段分の手ブレ補正IS機構を搭載しており、動きの激しいスポーツも手持ち撮影が可能。
詳細はこちら

プロフィール

関田航さん朝日新聞社 東京本社 映像報道部 関田航さん 1986年、神奈川県生まれ。大学時代に写真表現に興味を抱く。朝日新聞には2009年に入社し、東京本社に配属。その後、1年間ペン記者として福島総局に勤務。写真記者として福岡本部を経て、2013年に東京本社に戻る。休日にはスナップ撮影を楽しむ。

→ 朝日新聞社

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