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CAPA表紙編 土屋勝義の表紙撮影現場に潜入!!《 後編 》

『CAPA』6月号の表紙撮影も、いよいよ本番に突入!

CAPA表紙編 土屋勝義の表紙撮影現場に潜入!!《 後編 》「こんな感じでお願いします」とすばやく銀レフの位置と向きを決めていく。「いい表紙を撮りたい!」との想いはみんな同じ。“チーム土屋”の時間が動き出す。「その白い壁の前のベンチに腰かけてみて」
土屋勝義カメラマンは、モデルの蓮佛美沙子ちゃんにこう穏やかに話しかけると、三脚にセットしたキヤノンEOS5Dの光学ファインダーをのぞきこんだ。装着のレンズはEF70〜200ミリF2.8L IS USM。『CAPA』の表紙撮影では、土屋さんの相棒といっていい1本だ。

やはり人物の撮影では、プロポーションを美しくとらえられる中望遠〜望遠域のレンズがベースになるということだろう。土屋さんは、すばやくフレーミング操作を行なうと、自ら美沙子ちゃんのもとに歩み寄り、アシスタントにレフ板のセッティングの指示を出す。空模様はあいかわらずの曇天だ。光は柔らかいが、それだけ弱い…。

「少しでも光を拾えるように白レフじゃなくて銀色の面にして」「ここまでフレーミングしているのでベンチの端から(レフ板を)ハミ出さないで」と、その指示の1つひとつの明快さに、なるほどと唸らされる。使用する銀レフは全部で4枚。アシスタントだけでは間に合わないので、編集長やページ企画担当者なども手を貸す。

「とくにこの正面側の2枚が大切ですから」と、美沙子ちゃんの顔を見ながら1枚ずつレフ板の位置と向きを調整する土屋カメラマン。顔の影をチェックしているのかと思ったが、どうも様子が違う…。そうか、瞳を覗き込んでいるのだ。いわゆる“キャッチライト”である。瞳の中に銀レフを映り込ませ、目を輝かせるというわけ。

レフ板のセッティングにかかった時間は、ほんの3〜4分だろうか。後日うかがったところによれば、「通常は大きめの白レフ板で光を回し、銀レフで強めの光を味付け的に使う」のが、土屋さんのレフテクニックのひとつの基本だとか。この“味付け”にも、土屋さんならではのさまざまなパターンがあるわけだ。

しかし今回は、いつ雨が降り出しもおかしくない、どんよりと曇った空模様…。「とはいえ、自然光にはどんな弱い光でも、ストロボでは作り出せないナチュラルな柔らかさがある」と、シンプルなライティングを施した。言ってみれば、スローライフやスローフードならぬ、“スローライティング”とでも呼ぶべきなのか…。どうやら、柔らかな光に徹底することで、美沙子ちゃんの内面に秘めた強い意志や物語性を浮き立たせることができれば、という意図のようである。

レフ板のセッティングと試し撮り

抜群の集中力と観察力で表情を見逃さない土屋カメラマン!

CAPA表紙編 土屋勝義の表紙撮影現場に潜入!!《 後編 》「いいんじゃない」との土屋さんの言葉に思わず笑顔がこぼれる美沙子ちゃん。石田編集長(左端)からも「こんな感じで行きましょう!」とGOサインが出た。いよいよ撮影スタートだ! 「手にしたカメラ(フジのファインピックスS5プロ)は、底の部分が見えないように持ってね〜」と、CAPAの表紙ならではの指示を出すと、土屋さんはEOS5Dのシャッターを切りはじめた。パシャ、パシャ、パシャ。けっして高速連写ではない。「そう、いいね。そこでこちらのカメラを見て。うん」。そんなふうに声をかけつつ、シャッターを切る。

ひとしきり撮影すると、土屋さんはカメラを持って美沙子ちゃんのもとに早足で近づいた。これは、撮影したカットの一部を本人に見せるため。フィルム撮影での“ポラチェック”(ポラロイドなどのインスタントフィルムによるチェック)に相当する作業だ。美沙子ちゃんも、EOS5Dのモニターに写る画像を見て、思わず笑顔になる。

本番前の最終チェック

CAPA表紙編 土屋勝義の表紙撮影現場に潜入!!《 後編 》本番撮影でのひとこま。計4枚の銀レフが美沙子ちゃんのまわりを取り囲む。立ちポーズでは、座りのときよりフレーミングを広くとったため、銀レフもやや離れた位置にセットせざるを得なかった。土屋さんは“自然光”によるライティングがかなり好きなようだ。本番撮影に移っても、土屋カメラマンのリズムは乱れない。ゆったりと、それでいてキビキビとしたシャッター音が現場に響きわたる。土屋さんの指示の声とシャッターの音が溶け合い、音楽のようなリズムをもって伝わってくる。思いのほか、細かなポーズや表情の指示などは出さない。ホント最小限。美沙子ちゃんの気持ちの“流れ”にまかせているように見える…。

「そうですね。基本的にはモデルさん本位です。経験の長い方の場合は、本人がとるポーズなどを尊重し、またこちらの意図もきちんと伝えて意識してもらいます。また、新人の女のコは、逆に一生懸命ポーズしがちになりますので、意識しすぎないように、あまり具体的な指示は控え、気持ちをやわらげるようにします」。

新人とはいっても、すでに3本の映画の現場を経験している美沙子ちゃん。フツーの新人とは、その存在感も集中力も違うようだ。そのことは土屋さんの指示にもすぐ表れた。「カメラをやや下に持って」「そう。アゴを少し引いて」と、わりと具体的な指示を伝えはじめたからだ。それは次のひとことからも、端的に見て取れる。「こんな雰囲気のある表情されたら、参っちゃうよね〜(笑)」。

本番撮影! きめ細かな指示が飛ぶ

CAPA表紙編 土屋勝義の表紙撮影現場に潜入!!《 後編 》完成形がコレ。目線を外したカットもあったが、やはり書店に並べられたときのインパクトを考え、カメラ目線のうちの1枚が選ばれた。「よし、OK!」。土屋さんの声がスタジオの中庭に響きわたった。時計の針は、12時58分を指している。なんと、《座り》と《立ち》の大きく2つのパターン、およそ350カットを35分ほどで撮り切ってしまった。しかも本番撮影は、実質20分もなかったはず。土屋さんの現場を目撃したのは初めてだったが、その集中力には驚嘆させられた。慌ただしさを感じさせない、何気ない集中力。これがプロたるゆえんなのか…。いずれにしても、新人女優・蓮佛美沙子と写し屋・土屋勝義の“濃密な時間”は、まちがいなくそこに存在していた。

※CCN追加情報=蓮佛美沙子さん主演の劇場映画『転校生 さよなら あなた』(大林宣彦監督作品)は、2007年6月23日(土)より新宿ガーデンシネマほかで全国ロードショー公開されます。
http://www.tenkousei.net

※前編・後編とも、動画は三洋電機のザクティDMX-CG65で撮影しました。
http://jp.sanyo.com/xacti/