Menu
最新ニュース
超望遠レンズを付けた三脚を並べて早朝の風景撮影に挑む竹内氏。(三重県紀北町)
8月5日〜8日、熊野へ撮影に出かけた。今回の熊野撮影取材は、今までほとんど撮影していなかった紀北町を巡ることとなった。また、今回は船をチャーターして海上から見る熊野の撮影も行われた。今回の撮影には、熊野古道センター館長の石原氏と紀北町職員2名、それに紀北町在住の写真愛好家が同行した。
(文・榎元俊介/写真・種清 豊)
江戸後期よりここに建つ宿屋。(三重県紀北町)
紀北町職員に古い集落を案内してもらった。ここは、赤羽川をどんどん上流にのぼったところにある十須という集落で、ものすごく山深い場所にひっそりと佇んでいた。なかでも、200年も前からここにあるといわれる宿屋(今は営業していない)は、江戸後期の趣を今も残していた。
そんな宿の裏手には、山に囲まれた小さな水田があった。こちらの水田は今も現役。たくさんの稲が植えられている。そんな水田風景を撮影しようとした竹内氏に突然のアクシデントが……。三脚を握る手に強烈な電撃が走ったのだ!
よく見ると、なにやら水田周辺に怪しげなひもが張り巡らされている。これは獣よけの電線? そう、三脚伝いに感電してしまったのである。この日は1日中、頭がクラクラしていたそうだ。
大昌寺の天井絵。(三重県紀北町)
気を取り直して、赤羽川中流の寺・大昌寺へ行くことになった。この寺のお堂には立派な天井絵があるのだそうだ。江戸後期に描かれたもので、百人一首+11人の絵が天井いっぱいに広がっている。しかし、どうやら有名な絵師が描いたものではなく、当時この地域に住んでいた愛好家の筆によるものらしいのだ。確かに、一人ひとりの顔を見てみるとみんな表情が同じであった。
巨大クスの樹皮に向き合う竹内氏。これはなんだか妖怪に見えないかぁ?(三重県紀北町)
赤羽川を下り、数か所で巨木を撮影して回った。なかでも、河口の町にある長嶋神社の巨大クスの木は素晴らしかった。木の表面はゴツゴツといく筋にも分かれて上に伸び、生命に満ちあふれているといった感じで、木とは思えないほどの芸術的な美しさがあった。
朝焼けに染まるの島勝浦からの眺め。(三重県紀北町)
早朝4時、紀北町南端の半島である島勝浦へ朝日の撮影に出かけた。海にはガスがかかり、美しい朝焼けが一面に広がった。海には早朝から漁をしている小舟がたくさん出ており、朝焼けの中に小舟がシルエットで浮かび上がり、風情のある風景に出合うことができた。
海上より熊野の山々を狙う。それにしてもかすんで陸が見えない!!(三重県紀北町沖合)
6時より、長島港から朝の斜光線を浴びながらのクルージングに出かけた。今回の目玉撮影だ。海上からぜひ熊野を撮影したいという竹内氏の希望である。約2時間のクルージングで、沖合にある大島という小島を回って戻るコースだ。
湾を出てしばらくすると、波が高く、かなり船が揺れていた。同行していた紀北町職員は早くもグロッキー状態。そんな苦労をして沖合に出たのだが、海から眺める熊野の山々はかすみが強く、鮮明に見えない。船頭さんいわく、こんなにかすむのは珍しいとのこと。そんなこんなであまり撮影はできなかった。
巨大トチの木。木の生命パワーに圧倒されてしまった。(三重県熊野市)
陸に戻った竹内氏は、尾鷲市と熊野市の境界線付近に大きなトチの木があるとの情報を得て、さっそく行ってみることにした。トチの木は、山間の人気のない場所にひっそりと立っていた。この木は、江戸時代に紀州藩のある人が食用に植えたものらしい。それが巨大化して今に至っているのだ。何百年もたった今でも、ちゃんとたわわに実を付けるという。しかし、今は誰もその実を食べるものはいなくなってしまった。なんだか悲しい気もする。
参道の石畳を軽々と持ち上げて成長を続ける巨大杉。(三重県尾鷲市/飛鳥神社)
次に、四本杉で有名な尾鷲市の飛鳥神社へ向かった。境内にある四本杉も素晴らしかったのだが、竹内氏の目を引いたのは、参道の石畳を持ち上げて根をのばす杉の木だった。植物の生命力を再認識させられる光景であった。